豊かな光が得られるかもしれないシンプルな1つの可能性
インゴ・マウラーへのインタビュー記事を読んでいただけたでしょうか?
この中でインゴは、
「火の持っている温もりを、ハイテクな照明の中には感じない」
「私は炎を想い出させる何かを、そこにも見出したい」
と静かに語っています。
そして、あるプロジェクトのエピソードを続けました。
インゴはOLED(有機EL)の光とハロゲンランプの光を組み合わせて利用することをクライアントへ提案しましたが、このアイデアは試されることがなありませんでした。(OLEDによって)信じられないほど豊かな光が得られるかもしれないシンプルな一つの方法だというのに、どうして試そうともしないのだろう、とインゴは困惑したそうです。
私はこのプロジェクトの詳細については知りません。しかし、ハイテクな照明技術を開発して利用することを主目的にしている立場と、自分が親しんできた光のクオリティを失っていない新しい照明を人々へ差し出したいというインゴの考えとには、残念ながら良い接点が無かったのだろうと思います。